「省エネ革命」の衝撃 −省エネの取り組みを科学する−
シリーズ 3
佐藤 増雄
シグマ・パートナーズ代表
マスターブラックベルト
新年明けましておめでとうございます。
本年はウサギ年にちなんで、皆様にとってかけがえのない素晴らしい飛躍の年になるよう、心からお祈り申し上げます。
省エネのお話も3回目になりますが、新年に当たり、日本がいま再び世界から尊敬され、老若男女全てが希望を持って、安心して生きていける社会になるために、日本が今後の進むべき方向について、皆様と一緒に少し考えてみたいと思います。
21世紀に入って10年が経ち、「20世紀的なもの」が急激に崩壊してきています。欧米中心の世界の中で、アジアで唯一主要国首脳会議に参加していた日本も、中国、インド、ブラジル等の国々の台頭で世界の富が多極化し欧米中心の世界は終焉を迎える中で、日本の発信力は低下してきています。日本では今、これまでの良き伝統や文化、社会構造等の再構築と、そのための強いリーダーシップとグローバルでの産業・社会活性化のためのイノベーションが求められています。
持続可能な社会を実現するための低炭素社会実現に向けてのスマート・グリッド、スマートコミュニティ作りも、環境と共生した日本のモノづくり技術やICT(情報通信技術)を生かして、アジア等のダイナミズムを日本に取り込む絶好の機会といえます。2011年から始まる中国の新5カ年計画で戦略的・重点的な分野となっている、省エネ・環境や次世代情報技術はまさに日本企業にとって恰好な事業機会が期待されます。
グーグル社や、アイフォンやアイポッドでブレークしたアップル社のみならず、米IBMの「スマータープラネット」や米GEの「エコマジネーション」もエネルギー・社会システム分野における全社を挙げてのイノベーションへの取り組みを示す好事例と言えます。このように、未来を切り開くイノベーティブなビジョンを企業と社会が共有する事によって、企業が成長していくことが可能になると思います。まさにグローバル視点でのリーダーシップが求められていると言えます。
まえがきが長くなりましたが、日本にはまだまだ大いなる夢が持てるし、それを実現するためのチャンスも蓄えも有るのだということを皆様と共有し、「省エネ革命」3回目のお話を始めたいと思います。
3.省エネでもっと賢い企業になる
3.1 「見える化」から「見せる化」へ
様々な社員が一緒に仕事をするオフィスで、エネルギー情報を「見える化」し賢く使うと、エネルギー使用量は削減され、エネルギーを有効に使うようになると同時に、コスト削減につながるというお話をしました。
エネルギー情報に限らず、業務についても「見える化」により、さらには期待値とのギャップを「見せる化」するとともに、データを分析・料理するビジネス・アナリティクスにより新たな状況の実現を促す「予見する力」を駆使して、新たなビジネス展開が期待できます。様々な環境が激変する中でさらなる飛躍をするためには、課題とビジョンを関係者が共有し、自律的に問題解決をし、新たな施策を展開する事が極めて重要になってきています。
オフィス内の省エネについても具体的で実践的な成果を実現するためには、「見える化」から一歩進めて「見せる化」を行い、気付きを養い、自律的な行動による継続的な活動を行うようにすることが必要です。
「見える化」から「見せる化」を行い、気付きを養い、自律的な行動に誘発する一連の展開プロセスを考えてみたいと思います。(図3.1−1 省エネ展開プロセス−「見える化」から「見せる化」による自律行動の誘発―)
まずオフィス内にエネルギー消費データを収集「計測」する環境を構築します。次に物理的属性(照明、空調等)やユーザ属性(所属、行動時間等)に基づきエネルギー消費データを分析・表示し「見える化」します。この段階でも、課題が見えることによりある程度の改善は進みます。さらにこの段階を進めるためには、有るべき姿(管理指標)とのギャップの告知と双方向コミュニケーションによる「見せる化」を行い、ギャップの原因や改善による効果をコンテンツ、表示内容・方法等を工夫することにより「気付き」を与え、例えば各部門に対しの「環境賦課金」等の仕組みも取り入れ、チーム・個人の「自律行動」を引き出す仕組みを構築し、これをまわしていく事が重要です。
3.2 「見せる化」で一人ひとりの意識を変革
「オフィスの状況を測定できないならば、それを理解することはできません」。オフィスのエネルギー使用量を分かりやすく「見せる化」することで、社員が実態を把握・共有し、適切な対策を打つことが可能になります。
「見せる化」にも良い「見せる化」と悪い「見せる化」が有ります。良い「見せる化」とは、実現すべき「管理指標」を明確にし、組織的・自律的な施策・改善サイクルをまわすPDCAが実現する事です。組織・チームで情報を共有し全社レベルでの多段階のPDCAが実現する事です。組織・チーム一体となった「管理指標」実現に向けた組織的な意識・行動の変化につながり、企業の姿勢を大きく進化させることにつながることが必要です。
オフィスにおける省エネを実現するポイントは大きく4つに分けられます。
@ 負荷を軽減する
A 時間を短縮する
B 効率を改善する
C 多様なエネルギーを利用する
ここでオフィスでのエネルギー消費量の主要な部分を占めるコンセントと、その中でも多くを占めるPCなどの情報通信機器での使用量を削減するには、AおよびBの取り組みが重要となります。@およびCについてはオフィス環境やインフラを整備し、全体の省エネを進めていく上での主たる取組により期待される効果です。
AおよびBについてはワークスタイルの変革にも関わりますが、部署や社員などの属性を含めて、電源の入り切りや待機電力管理などによって効果が期待できます。Green Eco PC Watchingの「見える化」とグリーンエコシグマ・コンサルティングにより、これらの改善が加速されます。
ワークスタイルの変革も含めて省エネが進むことにより、全社レベルでのGreen Eco 改善サイクルが実現することにより、組織的な意識・行動の変革が実現でき、企業の姿勢を大きく進化させることにつながります。
次回はオフィス省エネを実現する仕組みについて、どのように実現していくのか、具体的な進め方についてスポットを当ててみたいと思います。
<参考文献>
1.東京大学グリーンICTプロジェクト
2.静岡大学センサーネットワーク応用研究
3.大阪大学CMCグリーンITプロジェクト
4.京都大学環境・エネルギーマネジメント研究
5.IT Leaders 2011.1
6.「成功する見せる化のための組織作り」佐藤増雄著 Computer TELEPHONY 2008.9
7.「スマートシティ」日経ビジネス2010.9
8.「環境ビジネス」日本ビジネス出版2009.10
9.財団法人:省エネルギ−センターHP
佐藤 増雄
シグマ・パートナーズ代表 マスターブラックベルト
早稲田大学理工学部卒・評議員。大手電機メーカ時代に大規模プラントシステム開発、シックスシグマ経営変革業務を推進。学会賞受賞と専門委員国際会議チェアマンを歴任。その後、PwCコンサルティング、IBMビジネスコンサルティングサービスで戦略およびシックスシグマコンサルティングを多数実施。株式会社ジェネラル・サービシーズでクロスボーダー・アウトソーシング、コンサルティングを実施。現在、各種事業変革・業務改革コンサルティング、コンタクトセンター・アワード審査員、省エネ・環境ビジネスコンサルティング・事業開発などを実施。
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